研究者たち、またそれに携わった者は皆、一様に口を揃えたという。

“ソイツは悪魔だ”と。

しかし、愚かな人間どもは何も感じなかった。
悪魔だ、怪物だ、とはやし立てたところで、自己の欲望、好奇心に狩られた幼い欲望のために野放しにした。
興味が湧けば追究を。
未知の存在には追求を。
そうして行き着いた先は、過ちに侵された暗闇だったのも理解し得ない。

悪魔の名前、否、初めから名前など無かったのだが、人間はその呼称を『魔物』と示した。

『魔』とは差詰め、忌々しきモノの象徴、黒の概念、歪曲想念の垂下といった“人外”を表す。
起源は人間の恐怖や異物の塊、御伽噺の延長上の空想から。
実際には存在することのない、人間の目に映ることのない、亡霊のようなモノ。

それがカタチを持ち、空想から姿を現した。いや、現せてしまった。
……人間自身が。

後先を考えず、という言葉通りに行動を起こす。
結果、自らの首を絞めることとなる。
まるで野生種であると言えよう、知能の不足した人間。皮肉にも、蓄積された知識は逆に知能を削っていた。そして自己の欲望がセカイに歪みを創り出す。