けれど裏腹なシンディの表情。戸惑い、と言えばいいのか、応え方が分からない様子を見せる。

シンディ「えーと……うん。役に立ててよかった、よ?」

何故か語尾が上向きなのも、その影響である。
アレイドという少年の才能は常人を凌駕、超越しているものの、願望への純粋さ故に才を自認していないのだから。

アレイド「よーし。あいつに俺の上達ぶりを見せてやらぁ! ここで待ってろよ、シンディ!」

シンディ「う、うんっ……」

有り余った嬉しさを動力に、一目散に駆け出す卓越者。
彼の姿は刹那に小さく、彼女の視界から外れていった。

呆と彼の背中を眺め、やがて彼女は笑顔を作る。

シンディ「はは、やっぱりアレイドはすごいや。あんなコト、教えてもらってないのにな」

関心する彼女をよそに、広大な空は暗く沈みゆく。天気は下り坂になる一方であり、雲は太陽の面影を消さんと質量を増やしていった。

シンディ「ありゃ。雨、降りそう……大丈夫かな?」

突然の雨────それは不吉の予兆に他ならない。