赤く、否、朱く広がる熱気の灯。
点々と視界を埋めては、連なり合って一つになる烈火。

アレイド「よっしゃあ! もうカンペキだなこりゃ!」

白や黒、または灰の煙が空に昇っていく。
その起点で燃やされる、様々な大小の木片。幾度となく熱を帯びたせいか、外見は炭そのものとなっている。
辺りにたちこめるは焦げ付いた灰の臭い。けれど風にさらわれ、景色に溶け込んでいく。

そして、徐々に近づく少女の人影。

シンディ「やっほーアレイドー、元気ですかァー! ……って、えぇ!?」

アレイド「よお、シンディ。どうだ、やれば出来るもんだろ?」

数々の灰を見た途端、彼女はただ驚嘆した。

シンディ「うそ。信じられない……たった一日で成し遂げちゃうなんて」

アレイド「たった? 何? そんなに大変なことなの、魔法って」

シンディ「大変も何も……私がお父さんに魔法を教わったの、一ヶ月くらい前なんだよ。それでずっと頑張って練習し続けて、三日前くらいにやっと成功したんだ。それなのにアレイドは……」

彼女が驚く理由。それは彼の卓越した才能にある。