“────!!”

切断面からの着火。
二本の触手は導火線となって火炎を這わせ、伝わせ、迸らせ、やがて付け根、本体へと引火してゆき────

“──、!─、─!”

同時に二体へ到達する。

シルク「ぐ……!?」

瞬間、目を焦がす眩い光が爆ぜ、火炎はここぞとばかりに盛った。
赤に朱を重ね、積み上がった火柱は“対象”の燃焼に全てを費やす。

燃やす事が役目であるように。
焼く事が使命であるように。
赤の魔法はただ“対象”を焼失させる。

“ ! 、  !”

途切れ途切れの断末魔。
左右のバケモノはノイズで不協和音を奏で、

その演奏の中を紅は駆ける。

アレイド「ラスト」

紅の動作は全てにおいて無駄がない。
三撃が打ち出される以前から現在に至るまでの動作は一連。洗練された一繋ぎの攻撃に元より無駄の入る余地はない。

そして迎えるこの最期も一環。
一回転し、着地する足は攻撃の一歩となり、身体は留まることなく継続する。

“────”

“不運にも”残ってしまった一体に防衛手段は何一つない。

当然だ。
アレイドが駆け出したのは、ソレの一部を引き千切った直後なのだから。

アレイド「特典だ。“最初だった”オマエにはとびきりスゲーもんをくれてやる」

だん、と魔物の前に強く踏み込むアレイド。
即座、両手に握る────カードを握る左手が右手の剣と呼応し合い────剣が後方から全体重を乗せて打ち出される。

言わば、魔法剣。

赤みを帯びた剣は、『魔法』という特異を受け取った新たな武装となって魔を裂く────!

“    ”

風の抵抗を無に、むしろ風を乗せて押し出される斬撃は有り余る勢いで裂かれた魔物を吹き飛ばし、

アレイド「粉砕」

重く弾ける音と共に、私たちへ振り返る紅い外套の陰で見事に“爆砕”するのだった。