「うわ」

少年は呆然と紅を眺め、尊敬とも取れる眼差しを向けた。その紅は間違いなく、弱きを救うヒーローだった。

まるで夢のよう。
先程まで驚異だったバケモノは両断され、微塵たりとも活動出来ぬまま徐々にその色を薄れさせてゆく。
夢は儚いものだと言うように色褪せ、砂のように細かく散り、やがてバケモノは小さな光の塊となった。

アレイド「キャプチャー」

何やら呟くと、その光はアレイドが持つ何かの中へ引き込まれていく。
何か、とは『カード』の事。
瞬時に繰り出した剣もカードの所業。『魔法』という力を内包するカードは、魔物同様に驚異である。そして未知である。
少年から見れば不可思議な事この上ないが、ヒーローの力とあれば問題はないのだろう。

アレイド「……チ、以外と手が早いもんだな、ナメクジのクセに」

それにまだ、ヒーローの力は一端しか見えていない。驚異、転じて不可思議を知るのはもう少し後の話。

アレイド「や、そこの少年。どこかに隠れるでもしてくれると助かるな。もしくは────後ろにいるデカブツを盾にするのもいいぞ」

エンディングにはまだ早い。

ナメクジが一匹……二匹……三匹。ヒーローを悩ませるかのように敵は再度到来する。