「……俺は、現実に存在してる。学校だって行ってたし、バイトもしてる。家にゲームだってある」


「それは、洗脳されてるんだ。俺も最初は、そうだった」


そのとき、気球の準備が出来た。


少しずつ宙を浮き、気球は城へと向かった。


「俺は、洗脳なんかされてねぇ!」


「そう思っていればいい。今は、城をクリアすることだけに集中してくれればいい」


その拓馬の言葉の後、二人は長い沈黙をした。


何も考えられない蓮。


「……説明してくれないか?」


そんな話、信じれるはずがない。


だが、蓮は涙を流しなら拓馬にそう聞いていた。


もう、わけがわからない。


確かに、有り得ない話。だが、現にゲームの中の世界に来ている。


何があっても不思議じゃない。


「昨年、現代の技術ではとてもできないゲームが発売された。『現実RPG』というソフトだ。俺は、そのゲームの主人公だった」


息を呑む蓮。


「だが、ゲームにはバグがあった」


「バグ?」


「ゲームのキャラクター達が、現実の世界に飛び出してしまった」


「おいおい……」


「CGという言葉を知っているか?まるで現実に存在しているかのように見える映像だ」


「知ってるけど……」


「そのソフトにはCGのスペシャル版が導入された。PCGと言う。PCGはまるで、人間そのものに錯覚するほど姿がそっくりだ」


「何……?」