急いで排水口へ行き、蓮は栓を思い切り抜いた。


大きさのわりに、栓は軽かった。


女性でも持ち上げられるように考慮しているのか……


その瞬間、ドーム内の水が音を立てて流れ始めた。


「くっ……」


思ったより、水の量はすごい。全部流れるまで、どれくらいかかるだろうか。


まぁある程度流れれば、サメは動けなくなってくるだろうが……


幸いにも、まだサメの攻撃は当たらない。


が、以前としてサメは暴れまわっている。


サメが動くたび、心臓がドクンと音を立てる。


おそらく当たったときは、怖いと思う暇もないだろう。いつの間にか死んでいる。そんな状況になる。


そのとき、蓮の左を水が切った。蓮のすぐ左を、サメが通過したのだ。


……ダメだ。とても、避けきれない。水が抜ける前に、当たる。


どう考えても、それが自然だった。


サメは、ドーム内をくまなく暴れている。


通過点に、少しの隙間も残していない。


「どうする……どうする……」


そのとき、蓮に再び閃く。


「待て……待てよ……おかしい……」


その発想に、全身に鳥肌が立つ。


……当たらない。当たらない方法がある。だとしたら……