「おおおおお!」


気合いのおたけびと同時に、サメに切りかかった。


ザン!


勢いよく、サメの胴体を切り裂いた。


そのとき、サメのHPが減る。


『HP6999』


再び、希望が絶望に変わった。


1しか減っていない。


あんなに、力いっぱい切ったのに……


呆然とする蓮。そのとき、サメが動いた。


「!」


何が起きたのかわからなかった。


目の前にいたサメは、いつの間にか蓮の数十メートル後ろにいる。


右半身に来るすさまじい水圧。


ものすごいスピードで、蓮の右を横切ったのだ。


幸い、攻撃は当たっていないようだ。HP100のまま。


「あ……あ……」


口をパクパクさせる蓮。


勝てない。


奇跡が起きても、勝つことはない。


今度は、蓮の上空をサメが走る。


そのスピードは、目で見えるモノではなかった。


蓮が小さ過ぎて見えていないのか、無我夢中で暴れまわるサメ。


その速度は、弾丸のようだった。


……いずれ、当たる。


HPがいくらあっても、あれに当たれば体はバラバラになる……


「あっ……」


その瞬間、蓮は口からタバコを落としてしまった。


そういえば、タバコをくわえていたんだった……あまりの恐怖に、忘れていた。


「ぐっ……ぐっ……」


急に呼吸ができなくなり、口には大量の水が流れ込んできた。