「もう、だめだ……」


泳ぐ気力を失った。


生き残れる確率10パーセント。


もう少しで、気を失うところだった。


それくらい気が抜けた。


いっそのこと、気を失ってくれた方が良かった。


それなら、恐怖を味わうことはない。


蓮は、剣を抜くと、自分の喉下に剣を突きつけた。


ギュッと目を閉じると、手にグッと力を込めた。


涙で再び目の周りが温かくなった。


自殺しよう……


「……くそ!」


自分の意志の弱さにとことん嫌気が差した。


自殺できない。怖い。


でも、道も選べない。


「くそー!」


そう叫んだとき、再び一番右の道を無意識に選んで泳いでいた。


がむしゃらだった。頭は真っ白の状態だった。


「正解があるんだろ!一本!それなら、やってやるよ!俺を誰だと思ってんだ!」


気が気でない状態だった。ただただ必死に泳いだ。


「なんで……なんで、こんなことに……」


再び涙が溢れた。


思えば、香里にさえ電話しなければ。


あのとき、電車に乗らなければ……


後悔ばかりが蘇った。10分の1になんて、当選できるはずがない。ほぼ、死ぬ。


奇跡でも起こらない限り、助かる見込みなんてなかった。


しばらく泳ぐと、再び文字が見えてくる。


その文字の色に、蓮の心臓が大きくドクンと音を立てた。


「赤色……」


今までと、字の色が違う。


それに、3文字。


多分3文字だ。


蓮は、泳ぐ手を緩めた。