「何か……足場、狭くなってない?」


その渚の言葉に、足元を見る一同。


言われてみれば、だんだん狭くなっていっている気がする。


最初は幅10メートルあった道が、6メートル程しかない。


「そうだな……まぁ、気にせず行こう」


直樹はそう返すと、再び歩き出した。そのとき、遠くに見える絶望。


「え……」


思わず、蓮の口から漏れる。


そこに見えたのは、円形で直径100メートル程の筒のような山。


その壁には、らせん状の道があった。


道の幅は、たった30センチ。


しかし、その筒の山の頂上につり橋が見える。


それは高く、上空に小さく見える。


「マジかよ……」


直樹からも声が漏れる。


こんな足場で、登れるはずがない……


「行こう。行くしか、ない」


守が呟くと、先陣を切って登り始めた。


腹を壁にピタリとつけて、両手を横に広げてゆっくりと進む守。その次に、二葉が続く。


「くそっ」


蓮も舌打ちすると、二葉の後に続いた。


登らないと、帰れない……行くしかない……


その後に、直樹が続く。最後に、渚が続いた。ブツブツと、お経のような文句を呟く渚。


「おい、うるせぇぞ渚」


「だから呼び捨てしないでって言ってんでしょ、直樹!」


震えた声で直樹に怒鳴る渚。


すでに、震えている。登りきれるのか……


「……」


少しの間、沈黙したまま登る一同。


しばらくすると、蓮が二葉の異変に気づいた。