「ん……」


蓮は目を覚ますと、激しい頭痛に襲われた。


「痛って……」


ギュッと目を閉じ、歯をくいしばって頭を抱える蓮。


「くっそ、何なんだよ、一体……」


薄っすら目を開け、ゆっくりと立ち上がりながらキョロキョロと辺りを見渡す蓮。


その光景に、目を疑った。


「え?どこだよ、ここ……」


一面、草原。まるで、緑色をした砂漠のようだ。


見渡す限り、何もない。


「……は?」


状況が全く理解できない。


確か、香里さんに電話を掛けて……それで、気を失って……


「……え?」


わけがわからない。何度も辺りを見渡す蓮。


夢でも見てんのか?


だんだん不安に駆られる蓮。


「どこなんだよ、ここは……あ、そうだ……携帯!」


ポケットから携帯電話を取り出すと、液晶を見た。圏外。


「くそっ……」


苛立ち、携帯電話を乱暴にポケットにしまう蓮。そのときだった。


プルルル、プルルル……


「……ん?」


電話が鳴っている。蓮のポケットから聴こえる。


蓮は再び携帯電話を取り出した。


「は?」


液晶には、確かに圏外と表示されている。


でも、電話が鳴っている。非通知。


「壊れたか?」


蓮は通話ボタンを押すと、受話器を耳に当てた。


「もしもし?」