現実アクションゲーム

「やばい、やばいぞ、こりゃ……」


先を予想し、健二の口から思わず漏れる一言。


まだ、後ろを振り返れば陸がある。それだけで、少し安心感があった。


しかし、中央に達したとき……周りには、レンガしかない。


深い闇に囲まれて、その威圧感を制して渡りきれるのか……すでに、三人の足は震えていた。


「くそ……」


ビビるな……ビビるな、俺……


そう何度も心に言う蓮。


ダメだ、俺には渡れない……


だが、戻れる状況でもない。後ろでは、ガイコツが暴れている。行くしかない。


心臓がバクバクする蓮。


普段ならこんなレンガ、1分もかからないで渡りきれるだろう。


落ちたら死ぬと言う状況なだけで、ここまで変わるのか……


「ゆっくり行こう!焦るんじゃねぇ!ゆっくりだ!」


健二が、自分に言い聞かせるように叫ぶ。


三人は息を呑み、一歩一歩確実に渡っていった。


何も考えない、何も考えない……渡ることだけに、集中する。


もう、どのくらい渡っただろうか。向こう岸までたった30メートル程なのに、やたらと遠く感じる。


そろそろ、半分くらいは渡れただろうか。


そのとき、異変は起きた。健二が、一足先のレンガに跳んだ、そのときだった。