ドクン。


心臓が鳴る。


鳥肌が全身を駆け上がる。


どう見ても、ガイコツだ。こちらに向かって歩いてくる。


片手に大きな剣を持ち、目を赤く光らせ、殺気立っている。


本能的に危険を感じた蓮は、ガイコツと逆方向に走り出した。


「おい、蓮!どうしたんだよ!」


健二も蓮の後を追い、走った。


その瞬間、ガイコツも走ってこちらに向かってきた。


それを期に、蜂の巣をつついたように逃げ出す人々。


その恐怖から、あちらこちらで悲鳴が聞こえる。


「何だ、あいつ……どうやって動いてんだよ!」


健二が叫ぶ。蓮は走りながら、後ろを振り返った。


「あ……」


思わず、声が漏れる。その光景に、目を疑った。


ガイコツが逃げ惑う人を捕まえ、切り倒している。


切られた人は、血は出ないが頭上に浮かぶHPの表示がゼロになり、バタバタと倒れていった。


「うわぁああ!」


思わず叫んでしまう蓮。その恐怖に、唇はパサパサになり、足が上手く動かなくなった。


何人かは、ガイコツに向かって剣を振っている。


だがあっさりと避けられ、オマケにガイコツの剣をモロに受けている。強い……


とにかく、真っ直ぐ全力疾走する蓮と健二。


心臓がやたらと速く、少し走っただけで苦しかった。それでも、懸命に足を動かせる二人。


後ろを振り返ると、みんなこちらへ走って逃げている。