「だから、気安く名前を呼ぶなっつってんだろ」


蓮は健二を睨んでそう言うと、再びモヒカン男を見た。


……やはりどう見ても、死んでいる。


どういうことだ?切られた痕跡もないし、血も出てない……


だが、切られた途端、倒れて動かなくなった……


蓮は自分の剣を抜くと、刃を見た。


どう見ても、鋭い。こんなもので切られれば、大量の血が吹き出るはずだ。


拓馬とか言う男……特殊な剣でも持ってやがったのか?


そんなことを考えていると、再び健二が話し掛けてきた。


「よぉ、蓮。ここに居ても、仕方ねぇ。さっきの眼帯の奴が行った方向に、とりあえず歩いてみねぇか?」


「誰がお前と行動するって言ったんだよ。あんまりナレナレしいと、殺っちまうぞ」


蓮は再び健二を睨んで言うと、剣を腰にしまった。


「まぁまぁ、そんなつれねぇこと言うなって」


健二がそう言った瞬間、蓮の瞳にあるモノが映った。


「……何だ、あれ?」


蓮の呟きに、健二も蓮の目線の先を見た。健二も、ソレに気づく。


「……あ?」


思わず、健二も声を漏らす。


ソレは遠く、まだほんの点のようだ。ゆっくりとこちらに歩いてくる。


健二と蓮以外の人間も、ソレに気づき始めた。視線をソレから外さない蓮。


だんだんと近くなってくるにつれて、姿がはっきりとしてきた。