「バカ、やめろ!」


武道の心得がある蓮ですら、防げなかった攻撃だ。


素人の二葉が、避けれるはずがない。


殺される!


ザン!


「あ……」


蓮の全身が痺れた。


二葉が……


二葉が、目の前で切られた。


HPはゼロになると、二葉はその場に倒れた。


「あ……あぁ……」


うまく呼吸ができない。頭に血が登って、今にも破裂しそうだ。


「この野郎!」


蓮は再びガイコツに切りかかった。


殺す!殺す!殺す!殺す!


ザン!


蓮の剣はガイコツの頭蓋骨を見事に砕いた。


バタンと倒れたガイコツは、動かなくなった。


「二葉ぁ!」


勢いよく二葉を抱き起こす蓮。


しかし、二葉に息はなかった。


「二葉……」


悲しすぎて、涙も出ない。


何だ、これ……


これが、人間の死か?


こんなにあっけないのかよ……


さっきまで、ついさっきまで話してたのに……


もう二度と、呼びかけてくれない。


二度と、あの笑顔は見れない。


二度と、あの勇気をくれない……


思い出したように、やっと涙が出た。


蓮は、声を上げて泣いた。


迷路の中には、たくさんのガイコツがいる。


だが、そんなことを気にしている余裕はなかった。


残り時間、あと10秒。もう、抵抗する気力はなかった。


9、8、7、6、5、4、3、2、1……