大阪から一路、龍馬は土佐に戻った。
途中、盗っとの藤兵衛とわかれて、単身土佐にかえってきた。龍馬にとって江戸出発以来二度目に帰郷である。今度は北辰一刀流の免許皆伝ということもあって、ひとだかりができる。せまい城下では大変な人気者である。
武市半平太はすでに土佐に戻っていて、城下で郷士、徒士などに剣術を教えていた。その塾の名は「瑞山塾」といい、すでに土佐では人気のある私塾になっていた。瑞山とは武市の雅号のことである。
龍馬の兄・権平は「龍馬、おんしも塾を開け。金なら出してやる」という。
すると龍馬は「わしはやめときます。ぶらぶらしときますきに」という。
「ぶらぶら?」
権平は不満だった。何がぶらぶらじゃきにか? 北辰一刀流の免許皆伝者が…
龍馬は珍しもの好きである。
さっそく噂をきき、絵師・河田小竜という男のところへ向かった。
河田小竜は唯一、日本中を旅して学識をもち、薩摩の砲台や幕府の海軍訓練所にもくわしい。また、弟子のジョン万次郎から米国の知識まで得ていた。
河田邸はせまっくるしい。そのせまい邸宅にところせましと大きな絵がかざられている。「おんしは坂本のはなたれじゃなかが? 何しにきた?」
絵を描きながら、河田小竜は龍馬にきいた。「絵師にでもなりたいきにか?」
「いいや。先生の話しばうかがいたいき、きたとです」
「話し?」
「はい。世界の話しです」龍馬はにこにこいった。
河田小竜は「しょうがないやつだな」と思いながらも、米国の男女平等、身分制度のないこと、選挙のことなどを話した。龍馬に理解できるだろうか?
途中、盗っとの藤兵衛とわかれて、単身土佐にかえってきた。龍馬にとって江戸出発以来二度目に帰郷である。今度は北辰一刀流の免許皆伝ということもあって、ひとだかりができる。せまい城下では大変な人気者である。
武市半平太はすでに土佐に戻っていて、城下で郷士、徒士などに剣術を教えていた。その塾の名は「瑞山塾」といい、すでに土佐では人気のある私塾になっていた。瑞山とは武市の雅号のことである。
龍馬の兄・権平は「龍馬、おんしも塾を開け。金なら出してやる」という。
すると龍馬は「わしはやめときます。ぶらぶらしときますきに」という。
「ぶらぶら?」
権平は不満だった。何がぶらぶらじゃきにか? 北辰一刀流の免許皆伝者が…
龍馬は珍しもの好きである。
さっそく噂をきき、絵師・河田小竜という男のところへ向かった。
河田小竜は唯一、日本中を旅して学識をもち、薩摩の砲台や幕府の海軍訓練所にもくわしい。また、弟子のジョン万次郎から米国の知識まで得ていた。
河田邸はせまっくるしい。そのせまい邸宅にところせましと大きな絵がかざられている。「おんしは坂本のはなたれじゃなかが? 何しにきた?」
絵を描きながら、河田小竜は龍馬にきいた。「絵師にでもなりたいきにか?」
「いいや。先生の話しばうかがいたいき、きたとです」
「話し?」
「はい。世界の話しです」龍馬はにこにこいった。
河田小竜は「しょうがないやつだな」と思いながらも、米国の男女平等、身分制度のないこと、選挙のことなどを話した。龍馬に理解できるだろうか?


