『体育中の生徒を物色してたんだろ?』 昨日の相良くんの言葉が蘇る。 もちろん、それは誤解で。 私が探していたのは背後でその言葉を吐き捨てた相良くんその人で、他の何者でもなかったのに。 相良くん以外に私は恋愛感情なんて抱いてない。 だけど、それを彼に伝えることが私にはどうしてもできなかった。 もし伝えれば、相良くんは嬉々として私を支配下に置くと思った。 事あるごとに『俺のこと好きなんだろ?だから、あの時も――』と最強の矛をちらつかせて。