「や、」 違う。 否定する間も寄越さず、相良くんは私を背後から押さえ込むように私の両サイドから腕を伸ばし、窓枠に手を置いた。 「で?どれが先生の好み?やっぱ美少年?それとも脅せばナニしてもチクらなさそうな地味で気の弱そうな奴とか?」 否定したい。 私が好きなのは、相良くんだけだと。 ずっと、相良くんが好きだったと。 だけど決めたから。 もう、迷わない。 聞くに堪えない侮辱が、無音だったはずの保健室を満たす。 それでも雑音になり切らない相良くんの声を、絶望的な気分で私は聞き続けた。