「ね、先生」 「な、なに」 「誰を見てた?」 ぎくり、顔が引きつる。 断固として振り返らないものの、ガラスに反射して、きっと彼にも私の表情は見えているに違いない。 それでも私は嘘をつくことにした。 「なんのこと?」 「誤魔化しても無駄。先生は気付かれてないつもりかもしんねぇけど…まあ、実際俺以外に気付いてる奴もいねぇだろうけど…結構前からずっと、体育があるたびにじっとグラウンド見てるだろ」 「っ、」