私がこの部屋から相良くんを追い出した事実は、相良くんが今ここに現れたからといって消えることはない。 だから、ガラスに映る相良くんに、私は繰り返し問い掛けた。 「どうして来たの?」 「…あのさ先生、」 相良くんは呆れたように笑う。 「折角手に入れた寝床をそう易々と手放すかよ…大体、脅してる相手の言うことなんざ聞くわけねぇだろ」 「………それも、そうだけど」 昨日、相良くんを追い出してから悩んだ時間の全てを否定された気がした。