「さがら、くん…?」 「ん?ああ、ノックしろって?細かいこと言うなよ」 「そうじゃ、なくて…」 声が擦れる。喉が熱い。 「…どうして」 「え、なんでって、眠ィから」 「…昨日、二度と来ないでって言ったのに」 理由を聞けば相良くんが本当に来なくなってしまうかもしれない。 けど、あれから一日悶々としていた自分を思うと、まるで何もなかったかのように現れた相良くんをそのまま受け入れるには抵抗があった。 過ぎた時間は戻らないし、言った言葉は呑み込めない。