その日は眠れなかった。


縁側に座っていた私を一晩中桜羅は隣で見守ってくれていた。



長い夜も、もうじきあける。




今日は…



祝言…。








最初からダメだったんです。



私は今は亡き一国の姫。


瑠真様は侍。




身分の違う私達はどう足掻いても結ばれはしないのです。






「柚姫様」


襖の向こうから女中の声がした。


同じ部屋に寝泊りしている郁の姿は何処にも無い。




心細い…。



桜羅は慌てて柚の懐に入り込んだ。






こんな早い時間に…



まだ4時前後であろう。



「どうかしたの?」


「失礼いたします」


襖を開け1人の女中が入ってきた。




「みない顔…ね」


「さすがは柚様。お気づきでしたか」


「どういうこと?」


「私はここの者ではございません」


「…え?」






「私は貴方様をお助けに参りました」