「ちっ、逃げ足の速い奴らよのう」


「津志田の国の姫様ですな?」




頭とみえる1人の男が私の前にきた。





「えぇ…そうです」





1人の侍は気絶した郁を抱きかかえ馬に乗せる。





「ご無事で何より。ささっ、わたしらの国へ」






私の国…


津志田は滅びた。







父上…




父上も母上と同じ戦で死んだ。






戦など…!!!




「姫様?どうかなさられましたかな?」



はっと我に返る。




「なんでも…ありません」