城は案の定騒がしかった。


「姫様ぁ!!」




女中の方に囲まれて自室へと戻った。


だけど城を出る前と変わらず、やはり郁の姿がみえない。





「あの、郁は?」


近くにいた女中に問うも



「申し訳ありませんが、存じ上げません」




これの一点張り。


どの女中に聞いても。




何だか嫌な予感がした。








1人になった自室で桜羅に話しかける。


「桜羅の嗅覚で・・・郁の居場所、わかる?」



もしかしたらと思い、郁の布団を桜羅に嗅がせた。





「キュウン!」


途端に柚の膝の上からおりて走り出した。





「あ、ちょっと待って!」


しかし部屋を出るわけでもなく、外が見えるところまで来て尻尾を振った。





「外に・・・いるの?」


「クウン」