『柚。明日にでも敵軍が攻めにくるかもしれん』
父上のその言葉が頭をぐるぐる回る。
戦は嫌い。
父上だっていつ殺されるか分からない。
母上も戦で殺された。
味方の兵も敵の兵も何人も戦で殺され死んでいった。
そんな殺し合いが…
また明日始まるかもしれない。
そう思うと眠れなくなる。
「柚姫様!」
「郁…。」
郁は私の慕っている女中。
「どうかなさいました?」
そう言って優しく微笑む郁。
ホッと和むようなその笑顔に心が落ち着く。
「明日…また戦になるかもしれない…と父上が」
一瞬驚いた顔をした郁。
でもその顔はすぐに笑顔に戻った。
「きっと大丈夫ですよ!国の者を信じましょう?」
「そう…だね」
父上や皆を信じなくては…。
その晩は郁がずっとそばにいてくれた。
2人同じ部屋でゆっくりと眠りについた。