「あ、ああああのっ………静先輩のお兄さんですか?あ、あた、郷田龍鬼(ゴウダリュウキ)と言いますッ!!以後、お見知り置きを!!」
息継ぎもままならないくらい一気に話しかける痛い奴。……動揺しすぎだ。
「…あ、ども。」
愛さんは一言、顔色一つ変えずサラッとかわしてから
「花梨?それ、何持ってたの?」
後光が射してるんじゃないかってぐらいの笑顔とは裏腹な、低ーい声で問いかけた。
「ち、ちっがぁうう〜もうっやだ〜だってこの子ったら、女の子の振りしてんのよ?オマケにコレ!“偽乳”よ!!あたしこういうの初めて見ちゃった!」
そう言って姉さんは痛い奴の胸を揉みまくる。
「なぁんだ。そっか、そうだね、花梨そんなの要らないもんなぁ…お陰で毎日良い心地を堪能してるし…ごめんな、ちょっとやきもちやいちゃった。」
「もうっ!やだっ愛ったら!あたしが愛以外にときめくなんてないんだからねっ!」
「「「………」」」
玄関で繰り広げられるバカップルの会話。
クネクネしながら話す姉さんに、デレデレ顔の超絶美形。
馬鹿馬鹿しい。
「そんな情報要らないからさ。」
「んもうっ!静ったら、恥ずかしがり屋さんなんだからッ!!」
そう言いながらも、偽乳を揉みまくる姉さん。
「コレ、マジ気持ち良いわ〜…癖になりそうよ。」
「花梨、もう止めなさい。彼固まっちゃってるよ。」
「ん?あれ、ホントだ。」
バッターン!!
姉さんから解放された途端、痛いヤツはその場に倒れ込んで、後頭部を壁に強打したみたいで───
ぴくりとも動かなくなった。
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