鬼は外!


福は内!


バラッ!バラッ!


「………。」



無言で走り回る、白衣を着た金髪イケメンのめちゃかっこいい鬼。





…………。

素敵すぎて、豆ぶつけるなんて、出来ません。



福は内!鬼も内!

って、言ってました。









ふと、玄関を見ると、上がり框で、爆睡する母さんが見えた。




─風邪引くよ?

毛布を取りに、上がり框に足を乗せたら、



!?



母さんの目から零れた滴。




「……母さん。何かあったのかな。」















「こぉーらぁ!あんたたちいっ!……それはあたしの“恵方巻”なんだからっ!!………あっ!やめてぇぇぇ!!」








「食べないでぇぇぇ!!」










………………。

─大きな、寝言だった。
そして、眉間のシワが、苦しさを物語っていた。


「クスッ……恵方巻、取ってあるから、大丈夫だよ?」

“鬼の目にも涙”だ。
あたしは、毛布を取りに部屋に急いだ。







鬼の目にも涙了─☆