「香織はな、自分の未来のことだけ心配しとったらええんや。銭のことは心配せんでもええ」 しばらく無言が続いて、お父ちゃんがポツリ言うた。 「…え?」 「健吾から何となく聞いた。三千子は気晴らしにパートしとるだけや。千葉からこっちに嫁に来て、近所の知り合いもおらんかったしな」 「…そうなん?」 だって、ケン兄ちゃんが……。 「香織、お前わしを見くびっとるやろ?地元大阪で知らんもんはおらん有名な会社で部長やっとるわしの給料、なめとんか?」 「いや、そんなわけないやん……」