「でもせめて、にぎやかな家族にしようと、真里を産んだの。妹が生まれれば、香織ちゃんの心境にも変化が出るんじゃないかと思って…」
でも、全てがこの女のもくろみ通りになるわけやなく。
逆にうちが疎外感を感じることになってまう。
「私、真里を育ててきて、思ったの。今まで、香織ちゃんに『母親』としてちゃんと向き合ってなかったわ。…勝手に出てきて、香織ちゃんの人生をかき回して、ごめんなさい」
実の子供を産んで、気付いたことがたくさんある。
母親は、子供のご機嫌取りじゃない。
子供と真剣に向き合って、時には怒鳴ったりしながら、自分自身が育て上げていくものなんだと―――。
小さい声でポツリポツリと語る、目の前の女。
今ならしっかりとしたうちの『母親』になってくれそうな気がした。

