それから一瞬だったと思うけど、香織の言葉が途切れた。 一瞬だったはずなのに、俺にとってはとても長い間のように思えた。 「それでもケン兄ちゃんに言われて少しずつ学校に通って高校に入学したのに、うちが高3に上がってすぐ、ケン兄ちゃん、結婚したんや」 気が付けば、天体望遠鏡から香織の顔に視線を移していた。 早口でそう言った香織の顔は、とても辛そうに顔をゆがめていた。 俺は、何も言葉にすることができなかった。 何を言っても、同情にしか聞こえないような気がしたから。