「俺は香織に用事があってきたんです。それにここからは俺と香織の間の問題です。二人で話し合いたい」






確かにそうだ。



コイツの言うことは正論だ。





頭では分かっているはずなのに、俺が香織を守らなきゃと思ってしまう。





たぶん、コイツに裏切られてしまったら、香織がダメになってしまう――。






守らなきゃいけない。






悪い予感と俺の義務感が働いて、俺はとっさに思いついたことを口にした。





「まずは倒れた香織を寝かせるのが先だろ。でも、香織の部屋はカギが掛かっていて開かない。香織のバッグを物色するわけにもいかないし、とりあえず俺の部屋に行かないか?」