「…ああ。一度真夜中にお会いしましたね。失礼しました。俺は翔です。香織は俺の彼女です」 さっきの会話が聞かれているのを知ってか知らずか、彼はおそらくホストクラブでもよく使っているであろう営業用スマイルを俺に見せながら自己紹介をしてくれた。 その痛々しい演技が、俺にとっては面白くて仕方なかった。 「4番目の、でしょう?」 俺が口角を上げながらそう言うと、一瞬彼は驚いた顔を見せたが、すぐに刺すような冷たい視線を俺に向けてきた。