俺はメガネをぐいと押し上げ、口を開いた。 「香織。お前、もうこんなこと……」 「うち、忙しいけど毎日充実しとんや。こんなん今まで無かったから、楽しぃてしゃあないな」 俺は、ホストにハマるのも、キャバ嬢するのも止めさせようと思った。 夜の闇は深い。 どれくらい深いのかは分からないが、おそらく俺の想像より深いだろう。 夜の危ない闇の世界から、香織を助けるために。 けどそれは香織の一言によってさえぎられた。