ホストの貴方



「茜、ありがとう。」

店を出て茜にそう言うと、茜は眉を下げて申し訳なさそうに『ごめんね』と呟いて、私達はいつもの帰路についた。

私は走って家に帰った。

靴を投げ捨てるように脱ぎ捨てて、家に足を踏み入れると、物音一つもしていなくて、運良く兄も母もいなかった。

心の中でラッキーと叫んで、私はトイレに閉じこもった。

「尿をここにつければいいの?…うーん…これでいいかな?」

今の妊娠検査薬は一分もすれば、結果が出る。

その一分が一秒が私にはとてつもなく長くて、長くて、心臓のドキドキが止まらなかった。