ホストの貴方



「は…あんた見てたのかよ。」

「見てたし、聞いてたよ全部!」

「な、奈緒っ…ごめんなさ…本当にごめんなさい…。」

涙で顔をぐしゃぐしゃにした茜が私にしがみついて言った。

私は茜の背中を撫でた。

「大丈夫だから。」

「ごめ…本当にごめん!」

私が言う前に口を開いたのは、冷めた顔をした葵だった。

「謝って済む話?つーか、お前、一人で解決出来なかったワケ?」

「葵に関係無いよ!私がいいって言ってんだからいいじゃん!」

「ソレ友情ごっこ?うける。」

「な…っ!」

「ダルくない?そうゆうの。つか、桜木茜も桜木茜だよね。ホストと付き合うとか…お前バカ?」

昨日の葵とは、あまりの豹変さに、唖然として声が出なかった。