「おい。」 あれから1時間は泣いていただろうか。 ふと気が付くと、私の足元に、大きな影が出来ていた。 声に気付いて、顔をあげると、そこには私にタオルを差し出している葵の姿があった。 「はぁ…だから言ったのによ。」 「うぅ…うわぁーん。」 私は泣きじゃくりながら、目の前にいる葵に抱き付いた。 「ちょっ…馬鹿、んだよ。」 「怖かった。」 私がそう言うと、葵は小さく舌打ちをして、仕方無さそうに大きな腕で私を抱きしめ返してくれた。 それ以上の言葉は何も言わないで。