「あ、あれって…。」

「奈緒、ビンゴだったね!」

「不登校の高橋…?」

「まさに『美形』って感じよね!」

「…まさか。」

不登校って言ったら、いじめとかにあって来ないだけなのかと思ってた。

あの人が、不登校の高橋。

そう考えていると、丁度クラス中にチャイムの音が鳴り響いた。

私は少し気まずい気持ちで、彼の隣の席に座った。

座った瞬間、フワッといい匂いがして、少しだけ胸がドキドキした。

よく見ると、肌にはシミ1つ無くて、本当に綺麗な顔をしている。

すると、見ていた私に気付いたのか、彼は顔を私に向け、私は彼とバッチリ目が合ってしまった。

「なに?」

予想外に低い声と、話し掛けられたことに、私のドキドキは止まらなかった。

「べ、別に。」

「惚れちゃった?」

「は、はぁ?なんで私があんたなんかに惚れなきゃなんないのよ。」

「あら、そう。」

彼はそう言うと、無表情のまま前に顔を向き直した。

惚れて無い。

からかわれただけ。

つか、その前に初対面だよ。

ありえないっしょ。

そう思うのに、多分今の私は自分でもわかるくらい顔が赤いだろう。