雪湖から竜平に電話が来たのは
次の日の朝だった。



「智久さんの居場所です。
彼を伯父さまのところに
戻してあげて下さい。
私と出会う前から決まっていた
彼の人生に修正して下さい。
お願いします。」



「わかった・・・・。
今どうしてるんだ?」



「母が逃げていたことを
私がしてるだけです。」



その一言に全てが隠されていた。



「智久さんを戻してくれれば
私も過去を忘れます。
伯父さま、絶対彼を戻してね。
私に出会う前から
決まっていた人生をあるいてほしい。
私のことは忘れてほしいと
彼に伝えて。
きっとあそこで彼は私を待ってるから。
雪湖は行けないって……
遠くに行くから……」



「遠くってどこへ?」



「大槻と地獄の果てまで
一緒に行きます。
それが私の運命です。
お身体大切に・・・・
伯父さまもご健康で・・・・」



そう言うと電話は切れた。

竜平は受話器を持ったまま
動けなかった。


地獄の果て


その言葉の意味を考えていた。