雪湖の姿に胸が痛んだ。


両親の死の影には
自分がいることを


雪湖には知られたくない・・・・。




雪湖のまえで
演じる偽善者の姿に
束縛された。



「ここには・・・・
思い出だけでいいです。
きれいで幸せな思い出がここに
来たら思い出せるなら・・・・
汚さぬようにとっておきたいから。」



「そうか・・・・。」


雪湖は想像していたより
強い女なんだと
稔は思った。



「ありがと、稔さん。」


雪湖の瞳が
自分の罪深さを見透かしている気がして
動揺していた。