ある日、王様とお后様は、森の奥深くに住む魔女を訪ねました。

「魔女よ、魔女」
「わかっているとも」
 全てを聞き終えないうちに魔女が言いました。

「円いお皿に水を入れて、満月を映しなさい。その水の月の真ん中に、二人の小指の先の血を三滴ずつ垂らし、月が隠れる前に、二人でその水を飲みなさい」

 それを聞いて、王様が言いました。

「そうすれば子どもが授かるのだね」

 魔女は首を縦に振りました。王様とお后様は手を取り合って喜びました。

「ただし」
 魔女は目をぎらりと光らせました。

「その子が十歳になったとき、私のところへ一人で来させなさい。その子が最初に私にくれたものを、私はその子からいただこう」