麗華が時計を見る。
「そろそろ帰らなきゃ」
『えっ?もう?』
リビングの時計は15時を指していた。
「うん。買い物しなきゃいけないし……」
麗華はそう言うと、リビングで遊んでいた寧々ちゃんのとこに行った。
手話で寧々ちゃんに何か話してる。
立ち上がる寧々ちゃん。
麗華は寧々ちゃんにコートを着せた。
麗華もコートを着る。
「送って行くよ。実家に行く用があって出掛けるから」
「いいよいいよ」
『遠慮しないで?』
「でも……悪いわ……」
『そんなことないよ。ねっ?先生?』
「そうだぞ。遠慮するなんて吉川らしくない」
「どういう意味よ!」
そう言って、3人で笑い合った。
こうして3人で笑い合える日が来るなんて……。
あの頃は想像もしてなかった。