晴羅(はれら)は川辺でおねえさんのよこにすわって、

なんにもすることがないのでとても退屈しはじめていました。

一、二回はおねえさんの読んでいる本をのぞいてみたけれど、

そこには絵も会話もないのです。

「絵や会話のない本なんて、なんの役にもたたないじゃないの」

と晴羅は思いました。

 そこで晴羅は、頭のなかで、ひなぎくのくさりをつくったら楽しいだろうけれど、

起きあがってひなぎくをつむのもめんどくさいし、

どうしようかと考えていました

そこへいきなり、ピンクの目をした白うさぎみたいな雷(らい)が

近くを走ってきたのです。

それだけなら、そんなにめずらしいことでもありませんでした。

さらに晴羅としては、雷が

「どうしよう! どうしよう! ちこくしちゃうぞ!」

とつぶやくのを聞いたときも、それがそんなにへんてこだとは思いませんでした

でも雷がほんとうに、チョッキのポケットから懐中時計を

とりだしてそれをながめ、そしてまたあわててかけだしたとき、

晴羅もとびあがりました。

というのも、チョッキのポケットなんかがある雷はこれまで見たことがないし、

そこからとりだす時計をもっている雷なんかも見たことないぞ、

というのに急に気がついたからです。

そこで、興味しんしんになった晴羅は、

雷のあとを追っかけて野原をよこぎって、

それがしげみの下の、おっきな雷の穴にとびこむのを、

ぎりぎりのところで見つけました。 ・・・・・・・・・・・

「ふわぁぁ~~あ・・・・・ネムたぁいなー・・・

っていうか今の夢、アリスがウチだったなぁ・・・

・・・・・・ってか何この服!!

アリスと同じじゃん!!」