私はシャッター脇の階段の前で、足を踏み出して、階段を降りるかどうか、迷っていた。「やっぱりやめたら?戻ってなにかいいことあるの?」「それはうまく帰れたら、それから考えるよ。この世界も面白いけど、透明人間はやっぱり、生きている手応えがないな。苦しいけど、現実感があるほうを選ぶよ。俺は。それじゃ。」「うまく帰れるように祈っているわ。さようなら。」私はその階段を降り始めた。