あなたの手を、さっきより強く握る。







会えない時間を埋めるように、

くっついて、

笑って、

キスして、

抱きついて、











時間がたつのは早いね。








時計台の針は、

もう、約束の終わりを告げてる。














30分後、




あなたは、あの人との約束へと帰って行く。












触れた手は温かく、


見上げた顔は優しい。









30分後、この掌はどれだけ冷たいんだろう。



バイバイの時間。

近づく、秒針の音。










今度、
いつ会える?










なんて、

聞けないね。


















だって、あなたが困るから。






気長に待つよ。




がんばるよ。

あなたに会えない明日を。










だから、今だけは、




















今だけは、



がんばらないあたしでいさせて。














"ごめん、キスして?"










泣きそうになって言った私に、

あなたは、また少し困った顔をする。








一瞬の間をおいて降る、あなたのキス。








泣いちゃダメだ。

泣くのは卑怯だ。





"泣きたいなら、泣いてもいいんだよ。"



なのに、

あなたは優しくあたしを引き寄せる。





ごめんね。



30分後、ちゃんと笑顔でバイバイするから、

今だけは、










あなたの腕の中で泣かせて。