「違うよ、何言ってるの」 そんな紗弥に苦笑いを浮かべてから、もう1度彼のほうを見ると もうそこには、彼はいなかった。 「紗弥、帰ろ?」 「え、あ、うん…」 なんだか紗弥が、驚いたような顔をしていたけど あたしは構わず歩み始めた。 なんで、あたし。 こんなに凹んでるんだろう。 彼が去ったあとに、気が付いたこと。 彼らが見ていたものは 『逆チョコ☆』 なんて可愛い看板がかかげられた、バレンタインコーナー。 ……つまり、彼には 好きな子或は、恋人がいるってこと。