体育館に響く音



「累っ落ち着け!」


「レオ先輩、ありがとうございます」


「累〜お前勝てよ?
俺等の引退かかってんだぞ?」


俺の尊敬する、白石先輩が
あきれたように言う。




―…そうだ。


あいつのこと云々の前に
俺は先輩のために
勝たなきゃいけないんだ。


そうだ…。


勝たなきゃ…。


勝たなきゃ…。




俺がいすに座ると、みんなが
うちわで仰いでくれた。


「累、頑張れ。後一息だ」


「落ち着いてやれよ」


みんな口々に励ましの言葉をくれた。




勝たなきゃ…。


勝たなきゃ、みんなのために…。