体育館に響く音



そういえば昔もこんなことがあった。



5年前。
俺の初めての試合の時。


その時コーチが風邪を引いて
試合に来れなかったので、
怪我をして試合に
出場できなかった
あいつがコーチの席に
座っていた。


1セット目が終わり、
1点も取れなかった俺は拗ねていた。


口を尖らせながら、俺は
しぶしぶコーチ席に戻った。


1点も取れなかったことが
ものすごく恥ずかしく感じた。


「累、お疲れ」


捻挫した足を引きずりながら
あいつは俺にタオルを渡してくれた。


俺は奪い取るようにして
タオルを受け取った。


「累、勝たなくていいんだよ」


「は??」