…と、ここまでが
事の一部始終である。
 
 
あれから十数年経ったが、
幸いにもキューピッドさまの
崇りと思われるようなことは
起こっていない。
 
 
それ故、
キューピッド様が何だったのか
未だに判らず終いだ。
 
 
 
 
…ただ、正直に話すと、
私は
 
 
「キューピッドさまだって
 間違うこともある!」
 
 
と叫んだ友人、
あいつこそがキューピッド様
だったのではないかと思っている。
 
 
 
 
いや、幽霊だったとか
取り憑かれていたなどと
言いたいのではない。
 
 
あいつが自らの意思で
ペンを動かし、
 
私達を混沌の渦へと
飲み込んだのではないか
と言うことだ。
 
 
その証拠にヤツは、
終始、妙に冷静で、
ニヒルな笑いを浮かべ、
私達の顔色を伺っていた。
 
 
その目は
狂気と快楽をはらんで、
 
それこそ
取り憑かれたように
血走っていた。