どれだけ歳月が過ぎようと



「泣かないでよ」

「それも、4年前、私があなたに……言った」

「覚えてる。先生のことを忘れた日なんてない」


 いつまでもこうしている訳にはいかない。

 そのうち旦那が帰って来るかもしれない。

 子供だって近くの友達と遊んでいるだけかもしれない。


 何よりこれ以上彼の優しさに触れていられない。


 無理矢理自分に言い聞かせるように立ち上がり、玄関まで彼を送って行く。

 たぶんもう会うことはない。

 会うことは許されない。

 あなたが許そうとそれがあなたを、自分を裏切ることになる。