どれだけ歳月が過ぎようと



「聞いてよ、先生」

「いや! やめて……っ」


 床に崩れるように座った。

 自分の手で耳を塞ぎ目をつぶる。


 聞きたくない、何も。


「目、開けて」

「やめて……っ」


 彼の手が私の手を包み込む。

 そしてゆっくりと耳から離す。

 顔をあげれば今も変わらない昔の恋人がいる。


「俺、結婚するんだ」


 4年前、私が言った言葉。

 私達が別れた原因。

 私達にできた壁。